キングセイコー(KS)は、1960年代から1970年代にかけてセイコーが展開した高級機シリーズです。グランドセイコー(GS)と並び、当時のセイコーが誇る精度競争の最前線にありました。
その中でも 「Special」 の名を冠するモデルは、通常のKSよりさらに厳しい規格をクリアした高精度機。特にこの 5246-6000 は、クロノメーター規格に準拠し、「CHRONOMETER OFFICIALLY CERTIFIED」の文字が文字盤に刻まれています。
1970年代前半の日本は、スイス時計に真っ向から挑んでいた時代。このモデルはその象徴とも言える存在です。
デザインの特徴

黒文字盤にバーインデックスとバーハンドを合わせたシンプルかつ精悍なデザイン。
デイデイト窓は白地に黒文字で視認性が高く、枠がしっかり縁取られているため、高級感を引き立てます。
ケースは丸みを帯びつつもエッジの効いた流線型デザイン。1970年代のモダンな雰囲気を色濃く残しており、スーツスタイルにもカジュアルにも馴染む万能さを持っています。
搭載ムーブメント「5246」について

搭載されるのは Cal.5246。
- 28,800振動のハイビート仕様
 - 秒針停止(ハック機能)付き
 - クロノメーター規格に準拠
 
同じ系統にデイトのみの Cal.5245 がありますが、この5246は曜日+日付のデイデイト仕様。実用性に優れた設計です。
KS Specialは、通常のKSよりさらに高い精度基準で選別されたムーブメントが搭載されており、グランドセイコーに匹敵する存在感を誇ります。
実機レビュー

実際に手に取ると、ケース径は約36〜37mmと現代基準ではコンパクト。しかしラグの張り出しや文字盤の力強さのおかげで、小ぶりながら存在感があります。
装着感は軽快で、長時間つけても疲れにくい点が魅力。
また、ラグ幅18mmなので革ベルトやメッシュブレスに付け替えて楽しむことができます。
黒文字盤は光の当たり方で艶やかに輝き、経年により独特の風合いを増しているのもヴィンテージならではの味わいです。
コレクション価値と市場評価
現在のヤフオクやeBayでは、状態やオーバーホール歴によって 8〜18万円前後 で取引されることが多いモデルです。
特に黒文字盤+クロノメーター表記の組み合わせは人気が高く、プレミア性があります。
維持費としてオーバーホール代は必要ですが、国産機で部品流通も比較的安定しているため、長く使えるのも大きな魅力です。
まとめ
キングセイコー Special 5246-6000は、
- グランドセイコーと並ぶ国産高級時計の頂点
 - クロノメーター規格を満たした高精度機
 - 黒文字盤が放つ独特の存在感
 
まさに1970年代セイコーの「技術と美」を象徴する一本です。
ヴィンテージ時計の中でも、実用性とコレクション価値を兼ね備えた名機として、多くの愛好家を魅了し続けています。
  
  
  
  

コメント